地方移住、思ってた以上にわるくないな

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2022年5月、東京から富山へ移住し、有機農業を始めました。
入社3年目頃から転職を考えはじめ、農業に挑戦することを決意しました。
最初は東京近郊でと思っていましたが、私がやってみたかった有機農業、持続可能な農業を営む営農法人を富山で見つけ、富山生活がスタートします。
東京から離れることに現実味がなく、初めての地方移住に不安でいっぱいでしたが、いざ移住してみると意外と平気、どころか快適に思うこともいっぱいあります。

地方移住が最近のトレンドになっていますが、都会と比べると生活レベルで違うことがもちろんたくさんあるので、慣れるまではそれなりに苦労するかもしれません。それでも慣れてしまえば地方もわるくないなと思えるようになります。
地方移住について少しでも参考になれば嬉しいです。

地方都市への移住
移住から連想するような自然豊かな田舎暮らしはさすがに厳しいなと思い、富山市の住宅街に住んでいます。里山で農業をしているため、仕事中は自然あふれる山々に囲まれています。普段の生活と仕事で切り替えできているくらいがちょうどいいのかもしれないです。
住宅街に住んでいれば、買い物や外食などは結構充実しているので、十分便利に生活できます。

農業に挑戦するようになるまで
前職では食品添加物の営業職をしていました。大学で農学部にいたこともあり、元々農業や食について興味がありました。食品開発に広く関わりたい思いから素材メーカーを探し、食品添加物メーカーに就職しました。
いわゆるメーカーではなく素材メーカーに入ったのは、特定のメーカーの商品が好きなわけではなく、あらゆる商品に興味があったので、幅広いメーカーと関わりを持つことができる素材メーカーが自分には合ってるなと思ったのがきっかけでした。実は無添加・自然派ではありますが、増粘剤・ゲル化剤と呼ばれる増粘多糖類は食品の食感や物性をコントロールする重要な役割を持つことが面白いと感じたことも理由のひとつでした。
この会社で営業職を丸3年経験しましたが、この間に様々な人と出会ううちに、食に対して真剣に考える機会が増え、これからやるべきは農業だと強く思うようになりました。
営業が元々嫌だったというのも転職のきっかけであったのは間違いないですが、それ以上に食品開発に対する疑問を抱くようになったことが大きいと思います。食品開発というのは本来であれば一般消費者のニーズに応えてされるものだと誰もが思うはずです。しかし、中にはそうでないものもあり、一般消費者のニーズではなく、メーカーのニーズに応えて素材を提案することが結構多いのが実情です。例えば、工場都合で扱いやすい性質のもの、少しでも安いもの、味を強くしてリピーターを増やすためなど様々あります。食品の原材料表示を見ると、増粘多糖類に限らずなんでこれを入れる必要があるのかと思うようなものも結構見かけます。
「素材メーカーの顧客は食品メーカーなんだから当然でしょ」という人もいるかと思います。ただ、食品というのは一般消費者に食べてもらって初めて成り立つものですので、その人たちのニーズが反映されていないのはおかしいのでは?と思い始めてしまったのです。少なくとも自分が自信をもって営業していくモチベーションが上がらなくなりました。加えて、コロナやロシアウクライナ紛争による原料不安も影響しています。
これらのことを踏まえ、自信を持てる農産物を扱える会社を探したときに、この時代だからこそ農業に携わるべきだと強く感じ、農業へ足を踏み入れました。

農業を始めてみて
冒頭の通り、2022年5月から有機農業を営む営農法人に転職しました。
主に米と平買い養鶏、加えて野菜を少しやっていますが、鶏糞を肥料として田畑に利用し、その土地でお米や野菜を収穫、一部を鶏の飼料にして卵やお肉、そして鶏糞を得るという循環型農業を営んでいます。無農薬・化学肥料不使用という自然派の私にはこれ以上ない仕事場だと思い楽しくやっています。それでも体力的にきついときはとことんきついですし、最初の2か月はこのままやっていけるのかなと不安もありましたが、9か月経った今はそれなりに体力がついて少しだけでも余裕ができてきたので、しばらくは続けてみようと思います。

農業はやり方次第かもしれないですが、スローライフというイメージからはかけ離れたものです。忙しいし休みあんまないしでまあまあきついときもありますが、営業のストレスやテレワークでパソコンをずっと見るしんどさから解放されたのはかなり大きいイベントだったと今になって感じます。東京にいなきゃいけないという思い込みが減り、人生の幅が広がった感覚があります。地方移住も意外とわるくないなと楽しく過ごしています。

こんな私ですが、農業や食、移住してみて東京出身者として気づいたことなどを書いていけたらと思います。

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